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ぼく、ベーグル

岐阜店

ぼく、ベーグル。
みんなぼくのこと、覚えてる?
ぼくはサイモンや、モグたちと同じ現場からきた男の子だ。

と、ちょっと若い子ぶってみたけど、実際はもう少し年齢がいっている。
ぼくの動きがゆっくりで、そろそろと動くから、たまに人間たちは「おじべー」って呼ぶ。
自分では早く動いているつもりだから、なぜバレてしまうのか不思議だ。
でもここでは、ぼくの本当の年齢は分からない。
だって、飼い主さんがいなくなっちゃったからね。

ぼくの人生の転機は、3つあると思う。
まずは前の飼い主さんに置き去りにされちゃったとき。
順風満帆だと思われたぼくの人生が、がらっと変わってしまった。
仲間が敵になって、ごはんの争いをするしかなかったんだ。
これは、ぼくにはどうすることもできなかったけど、そこから救い出してくれたのは人間だった。

そして次の転機が、ここ、ネコリパブリックにきたことだ。
飼い主さんは現れないし、風邪はひくし、死というものに直面した気がする。
だけど、そんなぼくたちを迎えにきてくれた。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃなぼくの顔を、一生懸命拭いてくれたのも、また人間だった。
最初はシャーって言ってみたけど、ここの人たちに、シャーは効かない。
何を言っても「かわいい~」としか言わない。
鼻に何かの薬を入れられたり、煙がぷしゅ~って出る機械で、ぼくが包み込まれたり、時には注射をされることもあった。
言葉は無力だと悟ったので、おとなしくしていたら、だんだんと風邪が治って、カフェにデビューできたんだ。

カフェは結構楽しかった。
なぜなら、女の子がたくさん来るからだ。
ぼくが和室にいた時は、ハッチやリーがいて、ふたりは率先して人間に撫でられに行っていた。
ぼくも撫でられるのは嫌いじゃない、むしろ好きだ。
でもあまりがつがつ寄っていくのは、ぼくのプライドがあるので、腰を低くし、頭も低くし、まるでほふく前進をするように、人間の足元にそろりそろりと近づいていく。
するとみんな、「あれ、この子いた?」ってぐらいに、ぼくに自然に手を伸ばして、撫でてくれた。
バレていないと思っていた。
だけど、ここの人間はしっかりと見ていたんだ、女の子の足元を狙っているのを。
ぼくが「おじべー」と呼ばれるようになったのは、これを見られた時からだ。
それからは開き直って、たくさん撫でられに行った。
たまにおもちゃで遊んだり、ごはんの催促もできるようになった。
それにシャンプーもされて、ふわっふわになった。触り心地は抜群だ。

3つ目の転機が、今日。
ぼくは、今日、新しい飼い主さんのもとへトライアルに行く。
こんなぼくを丸ごと受け止めてくれた。
どうやらここに昔在籍していた猫が、先輩としているらしい。
今までは、ぼくが何とかしたくても、どうにもできなかったけれど、このトライアルへの切符は、ぼくが掴んだ。
ぼくが、「あなたの家に行きたい」って撫でられた時に伝えたんだよ。

実は昨日、ネコリパにも転機が訪れたって聞いた。
大阪・熊取っていうところに、「保護猫のための不妊手術専門病院」をオープンしたんだ。
猫の殺処分を減らすには、不妊手術の徹底が必要だけど、猫の不妊手術費って高い。
餌やりさんや、個人ボランティアさんのお金じゃ限界があるから、ここの病院ではお値段も保護猫価格。

思い出してみてほしい、ぼくの3つの転機を。
飼い主さんに置き去りにされた時と、ネコリパブリックに来た時、これはぼくたち猫の力ではどうすることもできなかった。
でも、どちらも、状況をかえてくれたのは人間だった。

ネコリパにはたくさんの猫たちがいる。
みんな様々な事情を背負ってここにやってきて、自分の力でここから新しいお家への切符を手に入れるんだ。
でも新しいお家を手にいれるには、最初に手助けしてくれる人間の力がないと出来ない。

ここの人間たちは、たまに少し難しい話をする。
「腎臓の数値が高いから、あのごはんにしたほうがいいんじゃないか」
「ごはん食べないからウェットにするか、細かくしてみよう」
「ネプライザー嫌がるから、ケージにカバーを付けて個室みたいにするのはどう?」
ぼくがじっとその姿を見てると、にこっと笑って撫でてくれるけど、毎日たくさんいろんなことをみんなで考えてくれているのが、とても伝わってくる。

最初から、ひとりでどうにかすることなんて考えなくても大丈夫。
周りの人を頼って、たくさんの人から意見を貰って、そうやって、ひとつの命が救われたときに、みんなで喜びを分かち合えたら、嬉しい気持ちが大きくなるんだ。

ぼく、ベーグル。
今日トライアルに行く。
幸せの切符を、ぼくは自分で掴んだ。
いま、保護をしようか悩んでいる人がいたら、ぼくの言葉を思い出してほしい。

君の転機は、ぼくたちの転機だ。
ネコリパブリックはいつでも、味方だよ。


ネコリパほごねこクリニック大阪熊取町については、以下のリンクから
https://hogonekoclinic.business.site

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卒業ねこ
  • 性別男の子
  • 年齢4-6才
  • 在籍店岐阜店
  • 毛色グレー
  • 毛の長さ長毛
  • 人馴れ度のんびり
  • 人馴れ度シャー!シャー!

Comment

[雌雄・歳]
4歳・♂

[経緯]
ゴミ屋敷にした飼い主が「自分の家に戻りたくない」と他の家を転々とし、飼っている約20匹の猫には週2-3回帰宅して餌やりをしていました。
夏の暑い日、飼い主が緊急入院したため、栄養失調・熱中症で20匹いた猫たちは半数以上亡くなってしまいました。
残った7匹が保健所に預けられ、ネコリパに依頼が来たので保護することになりました。

[特徴・性格]
最初の挨拶はシャーですが、パンチしたり、引っ掻いたり、噛んだりしたことは一切ありません!
まだ人が急に現れたりするのが嫌みたいです。
毛布が大好きでお気に入りの毛布を置くとふみふみが止まりません。
ナデナデすると目を細めて嬉しそうにしてくれます!

グレーの長毛さんで、耳や顔の中心が濃いグレーなので割と珍しいです!

[健康状態]
食欲あり。現在風邪の治療中。

ワクチン 済
駆虫 済
去勢ー手術 済

エイズ 陰性
白血病 陰性

首相あさかのつぶやき

殺処分をなくすために。

1.蛇口をしめる

2.受け皿をつくる

3.出口をつくる

4.継続する

 

この4つを常に同時におこなっていかなければなりません。

蛇口をしめる活動は
TNR活動や、地域猫活動。飼い猫の完全室内飼育の徹底と不妊去勢手術の徹底。

受け皿を作る活動は
保護猫カフェや、保護猫シェルター、預かりボランティアを増やすこと。

出口を作る活動は
譲渡会・保護猫カフェで、保護猫と出会える場所をつくりだすこと。

継続する活動は
上記のすべての活動に必要な資金をしっかりと集められる仕組みを作ること

ネコリパは2014年から、10年間この活動を行ってきました。まだまだ道半ば。まだまだやるべきことは死ぬほどある。新しい切り口で、ネコリパしかできないことを、これからもずーっと継続し、成長し続けていく。

立ち止まることを知らないネコリパだからこそ、社会をかえるきっかけになれるように・・・

2024.7.2

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